『私塾のすすめ』

私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書)

私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書)

 齋藤孝梅田望夫の対談本。同じ年に生まれ、どちらも精力的に仕事をしている二人の対談である。非常に面白かった。
 日本という社会を取り巻く状況、それを打破するための戦い。梅田氏があとがきで「われわれは同じものと戦っているのだ」という、その「同じもの」とは日本社会の事なかれ主義、「出る杭は打たれる」の社会構造、若者が伸びようとするのにそれをよってたかって押さえ込んでしまう風潮に対する戦いである。それを、梅田氏はオプティミズムと現在の先の未来を示すことによって、齋藤氏はコンセプトとメソッドを示してとにかくやらせることによって、人々を、若者を動かそうとしている。その戦いや工夫の跡をいろいろと読むことができた。確かにこれは数回か読み直してみるべき本である。
 また個人的に、この本は初めて本格的に速読法を試してみた本だった。私の速読法は我流だが、でもおそらく多くの速読法と同じことをやっている。いちいち一語ずつ読まない。漢字を中心に飛ばし読みをする、という方法だ。このおかげで内容も十分に理解しつつ、細切れ時間を使っておよそ4日間で読み終えた。
 さらにファイルメーカーによる読書カードを作って、この本の内容をカード化することも始めた。自分の心に引っかかった箇所を情報カードに書きためていくのだ。本来、読んだ本はどんどんこうして情報を蓄えていくべきでだった。ようやく試みてみたところである。
 以上のこともあり、非常に特別な本となった。良い本だ。お勧めする。