伊勢物語の授業

 今日は、大会等で出張する同僚が多く、そのあおりで5コマ中4コマ授業が入る日となった。古典2コマ、現代文2コマである。
 古典は6組と7組での授業。伊勢物語の「あづさ弓」のまとめをする。最後の「あひ思はで」の歌の解釈、その歌を指の血で書き付けたことの意味、さらに女が清水のほとりで倒れ伏したことの意味などを、生徒に質問しつつ解説する。清水は、こうした古典作品で出てくる場合、波が立っていないのだと補足して質問すると、「鏡の働きをした」という答えを返してくれた。よしよし、さすがである。その鏡も、当時と今との重みの違いを踏まえつつ、女がその水面に映った自らの姿を見て、己の行いを省みたのであろうことを話す。悪気は何もなかったものの、結果的に二人の男を裏切ってしまった彼女の哀しみと悔いを考えさせる。

「読み」から「書き」への連動

 その後、最初に配っておいたプリントを用いて内容の読み取りのまとめを行わせる。生徒に黒板に出させて答えを書かせ、それを全員の前で添削して解答とする。こうしたまとめはおそらくとても大切なものだろう。古典というとどうしても口語訳をしてしまえばそれで終わり、という感覚になりやすい。だが、問題はそれが終わってからである。この作品は何を伝えようとしていたのか、主人公たちの心の動きは何か、主題は何か等々、口語訳が終わった段階ではそうした心のもやもやが渦巻いていることだろう。そのもやもやを「まとめ」というかたちで表出させることが必要である。書くことにより自分の読みを確認できる。こうした、「読み」→「書き」の連動は非常に大事で、必要なことだと考えている。
 さて、これで「あづさ弓」は終わった。次は「渚の院」である。しかし、いい加減早く終わらないと、漢文に入れないね。