学年だよりの制作

 1学年の学年だよりは私が担当している。他の同僚に原稿を依頼して書いてもらい、それをレイアウトしたり、また自分で文章を書いたりする。今回で第15号になるが、それができあがった。今回はスキー教室について書いている。前半隊が終わっただけで、後半隊はまだなのだけれど、スキー教室の意義について自分なりに考えてみた。読んでみてください。

スキー教室 前半隊終了

朝から強風が吹き荒れ、道路はアイスリンクのように光り輝き、越後線はお決まりの運休となった1月24日(木)。学校に通おうとしていた後半隊の生徒たちは遅刻をしないかと冷や冷やしたことでしょう。そのころ、前半隊は大雪警報の出された六日町にいました……。
スキー教室前半隊は、幾多の困難を乗り越えて無事帰ってきました。新潟高校の前庭に降り立った前半隊諸君の顔はみな満足そうな表情をしていました。

1日目
予定よりも早く「ほてる木の芽坂」に到着した前半隊は、早速着替えてスキー場に向かいました。この日は素晴らしい天気! 時折晴れ間がのぞき、視界はどこまでも広がっています。南魚沼の山々が美しい姿を見せて、前半隊を迎えてくれました。各班それぞれが、充実した講習を行っていました。

2日目
一転して朝から大雪に見舞われました。しかもスキー場には時折強風が吹き荒れます。4本あるリフトのうち2本が止まり、特に初・中級者には厳しい講習となりました。リフトに乗っている途中で何度も止まったり、深い雪に滑りづらくなったスキーをもてあましたりしながら、それでも逆に困難を乗り越えて次第に技術が向上していきます。あるいは最も充実した1日であったかもしれません。

3日目
相変わらず大雪の朝でした。「今年の天気はいったい誰のせいだ?」などと悪態をつく中、しかし途中から日差しが差し始め、視界も1日目のように広く見渡せるようになりました。3日間に渡る講習の最後を噛みしめて、どの班も元気よくスキー場を自由自在に滑っていました。帰りのバスの中でもその元気は続いていました。いや、うるさいことうるさいこと……(某4組担任談)。
こうして前半隊は無事帰還しました。山あり谷ありの、大スペクタクルでした。


スキー教室が我々にもたらしてくれるもの

 スキー教室は新潟高校の伝統行事です。これまで40数年間に渡って、1年生が同じホテルに泊まり、同じスキー場で悪戦苦闘をしてきました。私自身も、このスキー教室で初めてスキーが滑れるようになりました。この行事が、こんなに長くに渡って続いてきたのは何故なのでしょうか? スキー教室の良さとは何でしょうか?

1.明快な目標と明快な困難
 スキー教室の目標は明快です。第1に「スキー技術を習得しよう」。きわめて明快です。スキーを滑る、これが我々の目標です。
 しかし、同時にこれは初級者には大変な困難です。2本の足で立っているのに、自分の思い通りに進むことができないもどかしさ。止まりたいのにスキーは勝手に滑り出していきます。スイスイと滑っている人たちが別世界人に見えてきます。
 このように目標と克服すべき困難が明快であること。これがスキー教室の特徴です。

2.困難を乗り越える明快な達成感
 目の前に明快な困難がある。これを乗り越えなくてはならない。そこで、スキー教室の特徴である、本校教員による指導が意味を持ちます。我々教員は、生徒が困難にぶつかった時、それを乗り越える方法と道筋を教えます。しかし、乗り越えるのは生徒本人です。これは学習指導でも同じ。我々は生徒諸君が成長していく手助けをします。でも、苦しみ転びながら進んでいくのは生徒自身なのです。
 そして、スキー教室での困難は比較的克服しやすいものだといえます。何度も何度も転びながら、足をハの字にして踏ん張り続けると、いつかスキーが面白いように自分の意志通りに動くようになります。1日目は転び続けた下山コースを、2・3日目には自由自在に滑っていく嬉しさ! きわめて明快な達成感があります。

3.困難を乗り越えるための集団の力
 困難を乗り越えるためには教員の指導だけではできません。同じ班員の忍耐と励ましが必要です。自分が転んでしまった時、雪の中で自分を待ってくれている班員たち。「頑張れー!」と声をかけてくれる班員たち。同じ困難に、同じ立場の者たちが互いに支え合いながら立ち向かっていくことの強さ。集団の力をまざまざと感じさせる瞬間です。

 スキー教室での経験は、今後の学習にも、今後の人生にも通じるものが典型的な形で示されます。「人生の試運転」、それがスキー教室なのでしょう。