『意味がなければスイングはない』

意味がなければスイングはない

意味がなければスイングはない

 村上春樹の音楽エッセイである。昨年東京に行った際に、東京駅内のキオスクで買ったものだ。相変わらず楽しく読めた。
 取り上げられている音楽家はジャズ、ロック、フォークなどのアメリカの音楽家の他、クラシック、日本のポップスにまで及ぶ。私にとってなじみがあるのはクラシック分野のみである。それでも楽しく読めたのは、村上春樹の文体によるものだろう。私は基本的に彼の文体が好きなんだな。もちろん内容も好きなのだが、今回ばかりは内容ではなく文体が好きであることがよく分かった。
 村上春樹はそうした文体について非常に自覚的な作家である。だからこそ私も惹かれるのだろう。