というわけで、1組の古典講読の授業が公開された。保護者の方々が10名ほど教室に入り、廊下にもさらに10名ほどがおられて、なかなか緊張させられる状況での授業であった。
 今日から本格的に史記張良の話を読むのだが、これが山場を作るのに難しい教材である。口語訳は読めればほとんど分かるし、句法らしい句法は最後の方にならないと出てこないし、若干の語句の説明をすれば訳は簡単にできてしまう箇所である。そこで、本文のストーリーを確認する設問とともに、張良が秦に対して強い復讐心を燃やしていることが一番良く分かる箇所はどこか、という設問を中心にしたプリントを用いて、生徒に書かせ、確認していった。
 生徒の答えはなかなかユニークである。「わざわざ力士を得たこと」とか「財産をつぎ込んで食客を求めたこと」とか、それに加えて「弟の葬儀を出さなかったこと」などは当然出て来る答えである。その中で「鉄槌を使って襲撃したから」という答えがあった。なるほど、と思った。憎しみの強さ、というわけか。
 すべて正しい答えだと思うが、「最も良く分かるのはどれか」という絞りを問いかけ、「人間として絶対にしなければならないことまで犠牲にしているのは何か」とヒントを出して、「弟の葬儀を出さずに食客を求めたこと」という答えを引き出した。
 このあたりが今日の授業の山場だったが、はてさて保護者の方々にはどう映ったかな。