『蒲公英草紙』

蒲公英草紙―常野物語

蒲公英草紙―常野物語

 久しぶりの恩田陸の小説。これにはまりました。これまた久しぶりの「常野物語」シリーズである。恩田陸には学園ものと常野物語シリーズなど、一連の作品群がある。そのうち常野物語シリーズはいつもしっとりした雰囲気があって、とても良い。今回は明治〜大正期の旧家を舞台として、そのお屋敷の人々とかかりつけの医者の家と、お屋敷を訪れた春田一家との物語が語られる。非常に興味深く、終盤は切なく、最後は現代批判ともなって終わる。今年一番のヒットになりそうな小説だ。