「高瀬舟」の授業

現代文は「高瀬舟」を扱っている。今日は、まず、全体を次の4つの部分に分けた。

  1. 冒頭部 小説世界の設定 「高瀬舟」の場合、第1段が相当する。
  2. 発端部 事件の始まり 2人の登場人物の出会い 「高瀬舟」の場合、第2段が相当する。
  3. 展開部 事件の展開 「高瀬舟」の場合、展開部は第3段と第4段の途中までが入るので、2つの事件が展開していることがわかる。
  4. 終結部 事件の終わり 「高瀬舟」の場合、喜助の弟殺しの顛末が語り終わる後からが終結部だと考えられる。


そして、次の箇所について本文に傍線を引くよう指示した。

  1. 登場人物についての情報を示す箇所
    1. 登場人物は基本的に2種類。主人公と、その主人公に影響を与える人物。
    2. その登場人物の、年齢・職業・姿形・生活状況等の情報を示す部分に線を引く。
  2. 登場人物の心情を示す箇所
    1. 感情語 登場人物の心情を直接に示している箇所
    2. せりふ せりふの中に人物の心情を示すものがある。また、他人のせりふからほかの人の心情がわかる。
    3. 行 動 その人物の行動から心情がにじみ出てくる場合がある。
    4. 背 景 その人物の背景、自然の状況・風景・気象状況などに人物の心情が投影される場合がある。
  3. 主人公の認識の変化を示す箇所
    1. 事件のクライマックスの後で、主人公の認識に変化が生じる。「小説を読む」とはこの「主人公の認識の変化」を読者が追体験すること。
    2. 主人公に影響を与える人物の言動によって主人公の認識に生じる変化を示す部分に線を引く。


この線引きを30分間やらせた後、まずは人物の設定についてまとめさせた。喜助が30歳と設定されていることから、弟は27、8歳くらいであろうと推定できる。働き盛りの血気盛んな頃である。それなのに不治の病にかかり、しかも兄弟はずっと助け合いながら仲良く暮らしてきたことからすると、この弟がいかに兄に対して迷惑をかけているという辛さ・悲しみを抱えているかがわかることを示した。